拓也です。今回は、妻に不倫がバレそうになった話をしていきます。
たった一つの“音”が、すべてを壊しかけた夜
あれは、今でも思い出すと冷や汗が出る夜でした。
その日、僕はいつも通り仕事を終えて、真っすぐ家に帰ったんです。
別に彼女と会っていたわけでもない。浮ついた行動は一切していませんでした。
だからこそ、あんな形で“バレかける”なんて、まったくの想定外でした。
夕飯を食べ終えて、リビングで子どもたちとアニメを見ていたときのこと。
妻はキッチンで洗い物をしていて、テレビの音と水の流れる音が混ざる、何気ない家庭の夜。
僕はソファでスマホをいじりながら、ふと一息ついて画面を伏せたんです。そのときでした。
ピロン♪
スマホから響いた、LINEの通知音。
なんの気なしに手を伸ばして確認しようとした瞬間、背筋に電流が走った。
画面には彼女からのメッセージが、そのまま表示されていたのです。
《今度はいつ会えそう??2人で見にいきたい映画あるんだけど。。》
終わった。
頭の中で、そう叫んでいました。
反射的にスマホを裏返したものの、妻はすでにキッチンから顔を出していました。
「誰から?」
その一言が、妙に冷たく聞こえました。
言い訳を考える間もなく、僕は無理やり笑顔を作って言いました。
「会社の後輩から。メンタルちょっとやられてる子でさ、最近相談乗ってるんだよね」
自分で言っていて、情けないにもほどがあるなと感じました。
でも、これ以上の言い訳は思いつきませんでした。
妻はしばらく無言で僕を見ていました。
ほんの5秒ほどだったと思います。でも、その間に体温が5度くらい下がった気がします。
「ふーん、そうなんだ」
たったそれだけ言って、またキッチンに戻っていきました。
助かったのか、それとも“泳がされている”のか。
どちらにせよ、あの通知音ひとつで、僕の心はズタズタになっていました。
なぜ“その日だけ”出てしまったのか
実は、普段から彼女とのやり取りには細心の注意を払っていたんです。
通知音はオフ、バナーも非表示、名前も男性っぽい仮名にして、履歴も定期的に消していた。
そして何より、LINEの「メッセージ内容を通知に表示しない」設定は絶対に外さなかった。
──にもかかわらず、その日に限って、なぜか通知内容が表示されていた。
後で気づいたのですが、その日は会社でLINEの通知設定を一時的に変更していたんです。
社内連絡用のグループLINEで重要な連絡があり、スマホのロック画面でも内容が見えるように
一時的にONにしていたのを、うっかり戻し忘れていた。
“仕事のせいでバレかける”なんて皮肉もいいところですが、完全に自業自得でした。
静かすぎる夜が怖かった
その夜は、いつもより静かでした。
いや、実際の音の量は普段と同じだったかもしれません。でも、妻との間に流れる空気が、明らかに違っていたんです。
子どもたちを寝かせたあと、寝室で寝そべっていた妻は、スマホを見ながら何も言いませんでした。
普段なら、仕事の愚痴や子どもの話をしながら寝るのに──その日はずっと、無言でした。
僕もスマホを握ったまま、ずっと天井を見つめていました。
(まさか、全部見られてた?)
(いや、気づかれてない……よな?)
そんなことばかり考えて、全然眠れませんでした。
問い詰められたほうが、まだ楽だったのかもしれません。
何も言わずに“様子を見る”という沈黙の時間が、何よりも怖かったです。
このまま妻が一度も触れてこなければ──それはそれで地獄なのかもしれない。
そんなふうに、自分の中で何度も同じ言葉がぐるぐると回っていました。
それ以降、スマホは徹底管理
この一件以来、僕のスマホの使い方は、まるで国家機密でも扱うかのように厳重になりました。
まず、LINEの通知は完全にオフに設定し直しました。音もバナーも、ロック画面の表示もすべてカット。メッセージが来ても、開かなければ内容すら気づけないようにしています。
彼女の表示名も再び変更しました。「山田」では弱いと思い、会社の取引先にいそうな名前にして、プロフィール画像も一見何かわからない風景写真に差し替えました。
LINE以外にも、万が一を考えてインスタのDM通知も切り、メールの転送設定も削除。
一日の終わりには、メッセージの履歴を全て確認して、“残っていないか”をチェックするのがルーティンになっています。
やりすぎだと思われるかもしれませんが、それでもあの夜のゾッとする感覚を思い出すと、どんなに面倒でも、気を抜くわけにはいかないのです。
妻の本心は、わからない
あの出来事から数週間経ちましたが、妻は何も言ってきません。
普段通り、変わらぬ日常が流れています。
だけど、心のどこかで僕は思っています。
もしかして、あの夜にすべて気づいていたんじゃないか。
でも、子どもや生活のことを考えて、あえて問い詰めなかっただけなのかもしれない。
そう思うと、どこか申し訳ないような、でもやめられないような。
僕の中にある“罪悪感”と“欲望”は、未だに共存しています。
それでも、僕は今日も嘘をつく
バレそうになった瞬間って、まるで映画のワンシーンのように、脳裏に焼きつきます。
でもそれは、フィクションじゃなくて現実。
たった一つの通知音で、積み上げた日常が一瞬で崩れるかもしれない。
それでも僕は、彼女との時間を選んでしまっている。
きっとまた、どこかで同じような“ヒヤリ”に出会う気がしています。
だけど、そのリスクを背負ってでも、彼女との関係は──今の僕にとって、必要なものなんです。
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